新型コロナウイルスの感染拡大により、企業の採用活動に支障が生じている。下野新聞社が栃木県内の上場企業20社を対象にしたアンケートでは、全社が採用活動に「影響がある」と回答した。学生が集まる会社説明会などを開催できない状況が続く中、半数近くの企業が打開策としてオンラインによる対応を進めている。例年とは異なる採用戦線に、担当者からは戸惑いの声が上がった。
2021年卒の採用活動が本格化した3月以降、感染防止の観点から、県内でも合同企業説明会や個別の会社説明会の開催見送りが相次ぐ。学生に会社をアピールし、内定者候補となる「母集団」を確保する場がなくなり、出はなをくじかれた企業も多い。「なかなか学生と接触できない」と打ち明ける採用担当者もいる。
こうした中、一気に進んだのが説明会や選考のオンライン化だ。県内上場企業20社のうち、説明会を「ウェブで実施」すると回答した企業は、コジマやカワチ薬品、東京鉄鋼など11社に上った。
さらに、選考自体を「ウェブで実施」する企業は9社だった。活用するツールは、無料通信アプリのLINE(ライン)や、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」、インターネット電話「スカイプ」など多岐にわたった。画面越しでの面接に「人物像が分からないのではないか」「学生に環境が整っているか」といった不安も寄せられた。
ウェブへの切り替えも含めて「検討中」とした企業はナカニシ、仙波糖化工業など7社だった。
「その他」を選んだ3社のうちフライングガーデンは、人材確保のためにパートやアルバイトの学生らの社員登用を強化する意向だ。タツミの担当者は「ミスマッチを防ぐためにも、できれば工場の雰囲気を実際に体験してもらいたい」と話す。
一方で、「『採用スケジュールはどう変化するか』など、例年にない質問が多い」(栃木銀行)などと、学生の不安を肌で感じている採用担当者も多い。
各企業の担当者たちは、異例の採用活動への対応に奔走する。