清水潤氏

 日本国憲法が施行されてから3日で73年。安倍晋三首相や自民党議員からは、新型コロナウイルス対策と絡めて、憲法改正をすべきだとの発言が相次いでいる。白鴎大法学部の清水潤(しみずじゅん)准教授(37)=憲法学=は、憲法改正で内閣の権限を強める緊急事態条項を新設すべきだとの意見に対し、「劇薬を使う段階にない」と指摘する。休業要請に応じない事業者名の公表など、公共の福祉のための強制力の行使についても、「しっかりとした合理性があるかがポイント」と、コロナ禍の中で冷静、慎重に判断する必要性を説いている。

 自民党が2018年にまとめた改憲案4項目には、緊急事態条項の新設が含まれている。大災害時、内閣が国会審議を経ずに制令を制定できるようにする内容だ。3~4月の共同通信の世論調査によると、新設に賛成は51%、反対が47%。コロナ禍を機に「改憲をし、より強い行動規制に踏み込むべきだ」との声が高まったものの、慎重意見も根強かった。

 清水准教授は緊急事態条項に対し、「人権を保障する憲法の趣旨に対立する」とした上で劇薬などに例える。「本当に命に関わるような場合に小出しで使うもの。現憲法下での非常事態宣言が(コロナ対策として)極めて不足しているとは思えず、使う段階にはないだろう」との考えを示した。

 加えて「国民的議論が起きるのは良いこと」とし、「異例の状況下で冷静に議論ができるかは気になる。(感染)終息後、コロナ禍の経験を踏まえ改めて議論するのが望ましいのではないか」と語った。

 一方、全国知事会は休業要請に応じない事業者に対し、法改正で罰則規定を設けるよう国に要請した。県による店名の公表によって、パチンコ店が全て休業に至った本県。福田富一(ふくだとみかず)知事も罰則新設に同調している。

 現憲法下での私権の制限の在り方について、清水准教授は「最終的には最高裁判所の判断になる」と説く。

 最高裁は一般的に、法律の目的が合理的か否か、より緩やかな手段で目的を達成できないかを審査するとされているという。「罰則などの強制力は必要であれば使ってよいが、いきなり副作用の強い薬を使う必要はない。法律の根拠となった事実がどこまでしっかりとしているかがポイントになる」と解説した。