新型コロナウイルスの感染拡大でカクテルの街・宇都宮も危機的状況に陥っている中、県庁近くの「バー・パーク・アベニュー」(宇都宮市塙田2丁目)は、酒の量り売りで苦境に立ち向かっている。オーナーの福田弘樹(ふくだひろき)さん(49)は「利益はだいぶ厳しいけど、こういう時期でもお客さんとつながれることに意義がある」と前を向く。
一枚板のカウンターの奥に自慢のシングルモルトが整然と並ぶ。落ち着いた雰囲気の店内に客の姿はない。4月の売り上げは前年の2割ほどに落ち込んだ。福田さんは「来てくださいということも言えない。ここまで追い込まれたことは今までなかった」と嘆く。
今回の事態を受け、「期限付き酒類販売業免許」を取得し、4月14日から酒の量り売りを始めた。ウイスキー約300種やテキーラ約150種を30ミリリットルから店内飲食の半額ほどの値段(一部商品を除く)でテークアウト販売している。県の外出自粛要請もあり、同20日から店内の飲食営業は休み、量り売りに専念する。
「苦肉の策」で始めた量り売りだが、苦境を知った常連や会員制交流サイト(SNS)を見た新規の客が来店するようになった。
福田さんは量り売りで飲み会用セットを販売し、購入してくれた人たちとオンラインで同じ酒を楽しむ「Web飲み会」も企画している。「まだ前向きにいろいろ考えられている。失敗しても挑戦しなくては」と力を込める。
(問)同店028・625・5655。