臨時休館が続く県内文化施設。先月18日からの県立美術館企画展も「近日公開」

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため休館が続く県内の文化施設で、会員制交流サイト(SNS)を使ってクイズを出題したり、展示会場を動画配信するなど、インターネットが活用されている。学芸員らは「本来ならこんなときこそじっくり作品と向き合ってほしいのだが…」とジレンマを抱えつつも、「会場に足を運べなくても文化、芸術に親しんでもらえるような仕掛けを考えたい」と知恵を絞っている。

 「朝に千両のお金が落ちるといわれ、江戸で最も栄えた場所の一つだった日本橋。日本橋にあったのは何でしょうか」

 先月21日からツイッターで「クイズ五十三次」を始めた那珂川町馬頭広重美術館。同館は3月9日から臨時休館に入っており、4月4日からの企画展「浮世絵にみる 物語展」の開幕は延期された。クイズは7月に予定する次回企画展「東海道五十三次の旅」を題材としたもので、所蔵する歌川広重(うたがわひろしげ)(1797~1858年)の浮世絵版画「保永堂版東海道五拾三次」の画像を公開しながら、作品や約30カ所の宿駅にちなんだ問題を毎日1題ずつ出題している。予備知識を身に付け、企画展に関心を持たせる狙いもあるようだ。

 ツイッターを使ったクイズは、県立博物館でも3月から配信中。休校措置をにらみ、恐竜や鉱物、昔の暮らしなど同館所蔵品に関する問題を幅広く取り上げたほか、学芸員のつぶやきや休館中のメッセージをこまめに発信してきた。

 同館では以前から「バーチャルツアー」として360度パノラマ画像による常設展紹介コーナーをホームページ(HP)に掲載。今回はさらに、テーマ展や開催延期中の企画展「生誕250年記念 偉大なる無名画家小泉斐(こいずみあやる)」の会場動画もSNSで配信した。「当館各展示の雰囲気が少しでも伝われば」と柏村勇二(かしわむらゆうじ)教育広報課長は話す。

 同じく企画展「親と子でみる 世界の美術」の開幕が延期となっている県立美術館は、これまでも企画展ごとに紹介動画をユーチューブに載せてきた。同館の橋本慎司(はしもとしんじ)学芸課長は、「いつオープンできるか分からない不安を抱えながらの撮影は初めて」と戸惑いながらも、「今自分たちができることを考えたい。SNSの利用については、それなりの反響があるので、今後ますます広がっていくのではないか」とみている。

 地元出身の画家牧島如鳩(まきしまにょきゅう)(1892~1975年)、長谷川沼田居(はせがわしょうでんきょ)(1905~83年)の企画展を延期している足利市立美術館は、臨時休館中の対策として、同館HP上にキリスト教と仏教の図像を混交した如鳩、弟子で失明後も前人未到の画境を開いた沼田居の作品をそれぞれ数点ずつ公開中。三つに分かれている各展示室の様子も25点の写真で紹介し、足利が生んだ類いまれな2人の画家の世界を感じてほしいとしている。