新型コロナウイルス感染拡大の影響で休業する事業者が増える中、日光労働基準監督署は28日、管内の日光市、塩谷町を対象に「労働者の賃金確保等に係る緊急事態宣言」を出した。労働相談件数が急増していることから、休業手当の未払いや不適切な解雇、雇い止めの防止に向けて適切な対応を促す狙い。栃木労働局によると同様の宣言は県内初めて。対象期間は5月末まで。

 宣言に伴い、同労基署は関係機関などを通じて適正な賃金の支払いなどに関して周知を図る。深刻な影響が想定される事業者には、適切な労務管理の案内なども送付する。未払いなどがあれば速やかに指導する。

 同労基署への4月15日までの1カ月間の相談件数は前年同期の約2・5倍の104件に上った。観光関連産業が集積し、休業している事業者も多いことなどが影響しているとみられる。

 目立つのが休業手当の相談で31件。昨年1年間の総数(21件)や東日本大震災直後の1カ月間の件数(24件)を上回った。労働者からは「休業手当の支払いについて事業主から説明がない」といった相談、事業者からは支払い方法などの相談が寄せられたという。

 労働基準法では事業者の都合で休業させた場合、労働者に休業手当を支払うよう定めている。菅又正太郎(すがまたしょうたろう)署長は「大変厳しい状況下だが、本来行うべき休業手当の支払いなどに確実に取り組んでほしい」と話した。