閑散としたタクシーの停車場=28日午後4時15分、JR宇都宮駅

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛要請で人の動きが止まり、タクシー業界が苦境に立たされている。需要激減のため、自宅待機を余儀なくされる運転手も。廃業の危機が迫る中、業界団体は買い物代行など「便利タクシー」の導入などで生き残りを図る。

 JR宇都宮駅西口のタクシー停車場。28日の昼下がり、客待ちの車両は以前は50~60台が並んでいたが、20台ほどにとどまり、閑散とした光景が広がる。

 「ひどい状況だね。お客さんがいないから、ここに来る車も少ない」。宇都宮市内の事業者の運転手男性(67)はこう嘆いた。同駅に多いビジネス客の姿はほとんどない。2時間は停車場で客を待つという。

 1日25件ほどあった客は、今は8件ほどだ。「収入は1日で1万円あればいいほう。歩合制で半分は会社にいく。年金収入があるから何とかなっているが、長引くと厳しい」と表情を曇らせた。

 「予想を超えた事態」。県内タクシー大手の関東交通(宇都宮市若草2丁目)の保坂和夫(ほさかかずお)代表取締役社長(62)は頭を抱える。小中高などの臨時休校要請が発表された2月27日以降、売り上げが極端に落ちた。

 「ファーストタクシーグループ」をつくる関東交通など4社は各社とも3月、前年同月比で約35%減少。4月に入ると3社は約60%減で、観光地を抱える那須合同自動車は70%減まで落ち込んでいる。

 対策の一つとして関東交通は約160人の乗務員のうち、先週、国の雇用調整助成金を活用して3~4割を休業させる体制を組んだ。休業する場合は、給与の6割程度を補償するという。「タクシーをはじめ交通産業も厳しい。交通インフラを守らないと、その後の経済の復興はあり得ない」と訴える。

 一方、「買い物代行」などの救援サービスを有料で行う「便利タクシー」に新たな活路を求める動きも加速している。

 県内95社が加盟する県タクシー協会によると、3月末に説明会を開いてから1カ月で導入事業者は50社を数えた。同市の北斗交通は飲食物の配達などの需要が伸びており、担当者は「どこにも行けない今だからこそサービスを活用してほしい」と訴える。

 同協会の鉢村敏雄(はちむらとしお)専務理事(66)は「緊急事態宣言が延長されれば、さらにブレーキが掛かり、さらなる打撃は避けられない」と不安を語った。