新型コロナウイルス感染症に関し、行政が休業要請に応じない店への対応を強める動きがあることに、県内の一部の対象業界は戸惑いの声を漏らす。店名の公表が検討されているパチンコ業界の関係者は「融資や補償がなければさらなる休業の実現は難しい」と明かす。一方、26日に感染が発表された大田原市の80代女性は、休業要請の対象となっているスポーツ施設内の風呂を利用していたことが判明し、スポーツジムや入浴施設の関係者は業界への風当たりが増すことを不安視する。

 「要請に応じない店があるのは正直に言えば迷惑。経営が苦しい中、真面目に応じている店が多いのに」。県の休業要請に応じた県内パチンコ運営会社の担当者は打ち明ける。

 一方で「体力が弱い店ほど営業せざるを得ない側面もある」と推測し「店名を公表しても事態は好転しない。行政は個々の店舗に寄り添い、資金融資や補償の提示も含め、丁寧に説得していくべきだ」と話した。

 県遊技業協同組合によると組合加盟店、非加盟店を合わせ、県内で95%以上の店舗が休業要請に応じているという。組合関係者は「応じていない店の中にも、従業員の生活を守るために苦渋の選択で営業しているケースがあり、公的融資が受けられれば状況が変わる店もあるだろう」と話す。

 公衆浴場の場合、銭湯は休業要請の対象外だが、床面積が一定規模を超えるスーパー銭湯は対象となる。

 宇都宮市内で銭湯を経営する男性は、時間を短縮し営業を続けている。大田原市の感染女性が入浴施設を利用していたことに「人ごとではない。さらに身を引き締めないと」と対策強化の必要性を感じている。客への感染を不安視する一方、「家に風呂がないなど、銭湯を必要とする人のためにも休めない」と社会的役割を強調した。

 営業を続けている県南の入浴施設も「大田原の件で休業への社会的要請がさらに強まれば、従うことになるだろう」と様子見している。

 大田原市の感染女性が通っていた施設自体は、スポーツ施設にあたる。休業要請に応じた宇都宮市内のスポーツ施設の担当者は「何か考えがあって、どうしても営業を続けないといけない理由があったのかもしれない。(営業していたことへの)良い悪いは言えない」とおもんぱかる。

 休業中の県南のスポーツジムの店長は「もともとクラスター(感染者集団)化への懸念でイメージが悪かったのが、さらに悪化してしまうのではないか」と残念がった。