休業となった店内で椅子の手入れなどを行うスタッフ=22日午後1時40分、宇都宮市池上町

 新型コロナウイルス感染者数の増加などの影響で、普段はサラリーマンや観光客らでにぎわう栃木県内の繁華街が危機的状況に陥っている。バー、キャバクラ、スナック-。全国で相次いだ“夜の街クラスター”で客足は激減。全国拡大した緊急事態宣言に伴う県の休業要請を受け、営業自粛の動きが広がる。食事がメインの店と異なり、弁当などの持ち帰り営業が難しい店も多い。「生活が立ち行かない」と夜の街から悲鳴が上がる。

 シャッターやドアに手書きの「臨時休業のお知らせ」が貼られた店が軒を連ねる。22日夜、宇都宮市中心部の泉町。看板の明かりが消えた街は暗く静かで、人通りはまばらだった。

 「お客さまを迎えられる日はいつ来るのか…」。カクテルの街・宇都宮を支える創業46年のバー「パイプのけむり池上町本店」(同市池上町)で、相葉渉(あいばわたる)店長(32)は店内の清掃をしながら、唇をかんだ。

 県外からの観光客も多く、バーテンダーの検温や店内の消毒など感染症対策を講じてきた。3月以降は団体客から予約のキャンセルが相次ぎ、県の休業要請前の13日から営業を自粛。家賃や人件費、光熱費が重くのしかかる。

 周辺では、弁当などの持ち帰り営業へ切り替えた飲食店も増えた。しかし「カクテルの魅力はお店の雰囲気と切り離せない」。客との会話を楽しみながら好みに合わせてシェーカーを振るのが、バーの醍醐味(だいごみ)。「テークアウトでは販売しようがない」と嘆く。

 「家賃が払えない」「早期に補償を」。30店舗が加盟する宇都宮カクテル倶楽部(くらぶ)には切実な声が渦巻く。

 武内博(たけうちひろし)代表幹事(47)は「とにかく今は耐えるしかない」。県は21日から5月6日まで連続して休業した事業者を対象に、最大30万円の協力金を支給する方針だ。一方で「補償を受けて再開できても、以前のように客足が戻る保証はない」と先の見えない不安を抱える。

 小山市の繁華街も客足が途絶えた。休業を決めた中央町3丁目のキャバクラ店「club 7UP」の責任者(42)は「県の協力金では、家賃すら賄えない」とため息をつく。キャストと呼ばれる女性従業員約40人は自宅待機中という。

 休業要請に罰則などの強制力はなく、営業を続ける店もある。県北でスナックを営む女性(64)は「補償は当てにならない」と言葉少なに語り、「生活が懸かっている。閉めるに閉められない」と苦しい事情を吐露した。