利用者の終末期に備え、宝寿苑が確保した面会用個室への出入り口=14日午前、宇都宮市宝木本町

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、県内の高齢者施設が危機感を強めている。施設内での感染を水際で防ぐため、面会制限の動きが広がり、亡くなる間際でなければ家族でも面会が難しい状況だ。県外の施設でクラスター(感染者集団)の発生が相次いでおり、デイサービス事業者は「施設内で感染者が出なくても、事業を休止せざるを得ないかもしれない」と憂慮している。

 「いつ施設内で感染者が出てもおかしくない。職員の感染対策には気を配っているが…」。宇都宮市の特養老人ホーム「宝寿苑」の岩崎正日登(いわさきまさひと)施設長(60)は表情を曇らせる。

 2月末から利用者と来所者の面会を原則中止し、家族も含め立ち入りは玄関まで。終末期の利用者との面会用個室は専用の出入り口を確保し、施設内への感染リスクを抑止した。職員には検温の徹底や、手短な外出などを指示した。

 それでも利用者が感染した場合、対応が見通せない。「軽症の場合、利用者を施設にとどめる可能性も出てくるかも」とし、「その間も介護は必要なのに、職員が着用するゴーグルや手袋などはなく、施設内の感染を防げるのか」と不安を募らせる。

 足利市の「ケアハウスひこやの里」も今月から面会制限を始めた。職員は医療用ガウンを着用し、介護に当たっている。特養と違い要介護度が低い利用者もおり、大須浩之(おおすひろゆき)施設長(65)は「外出を極力控えてもらっているため、利用者のストレス解消策が課題。隣接する群馬県の感染者も増えており、危機感は日に日に高まっている」と話す。

 県外の高齢者施設では、利用者が日帰りで介護を受けるデイサービス施設での集団感染も目立つ。県南のデイサービス事業者は利用者が感染しない状況であっても休止する可能性があるとし、「休止はできる限り避けたいが、施設内にウイルスが入ればあっという間に広がる。地域の感染状況をにらみ、どこまで続けられるか日々判断している」と打ち明けた。