初診外来などの診療休止を告知する張り紙がはられた済生会宇都宮病院の入り口=15日午前10時30分、宇都宮市竹林町

 「まさか病院から」「感染が広がらなければいいが」-。済生会宇都宮病院の勤務医の新型コロナウイルス感染が公表された15日、同病院の患者やその家族からは、驚きや不安の声が漏れた。一方、現時点で院内感染は確認されておらず、栃木県医師会の医師は「病院だからといってパニックにならず、冷静に取るべき行動を判断することが重要」と語った。

 この日、家族の通院の付き添いで来院した宇都宮市、サービス業女性(53)は「中に入るのが怖い。宇都宮と言えば済生会というほど身近な病院。感染が広がるのではという恐怖感がある」と話し、念のため待ち時間を屋外で過ごした。

 今月、同病院に入退院したという同市、20代会社員女性は「まさか病院から(感染者が)出るとは…」と驚く。「面会禁止など、院内はすごく警戒した雰囲気だった」と振り返り、「患者は『お医者さんは大丈夫』と信じて身を預けるしかない。感染が広がっていないか心配」と不安を口にした。

 同病院の医師の一人は「さまざまな経路で感染が広がっている以上、いつかは起き得ることと感じていた」と受け止め、「いずれ来る急拡大の時期に備え、院内や自分自身、家族を含め日々の感染対策をより注意深く進めていかなくては」と語った。

 県医師会副会長で感染症対策委員長を務める稲野秀孝(いなのひでたか)医師(64)は「現段階では院内感染でなく、当該の医師の行動歴も分かっている」として、事態を冷静に受け止める重要性を強調。「医師との接触に心当たりや不安があっても、自分の健康状態をよく把握し、落ち着いて関係機関に相談するように」と助言する。

 また「今は誰にでも感染のリスクがある」とした上で、「医療従事者は疲労困憊(こんぱい)の中で診察に当たっている。今回の事態で医師や病院に偏見、風評を浴びせたり、乗じたりする行為は許されない」と強調した。