復旧した施設の様子を説明する黒羽観光簗漁業組合の松浦常務理事。テーブル席は半分に減らした

 【大田原】台風19号で被災した黒羽日向町の「黒羽観光やな」が5月1日に営業を再開する。屋根と骨組みだけだった施設はきれいに整備され、現在、テーブル席設置などを進めている。しかし新型コロナウイルス感染拡大を受け開店披露は中止、座席数も半分にした。国の緊急事態宣言に伴う外出自粛もあり、復旧の喜びも曇る厳しい再出発となる。

 従業員ら計10人は13~14日、機器の点検、食器の洗浄消毒などの作業を行った。テーブル席も設置したが「1列ずつ間引いた。お客は来ないだろうから覚悟して広くした」。運営する黒羽観光簗漁業組合の松浦節(まつうらみさお)常務理事(79)は通常の半数の150席となった店内に目をやりながら打ち明けた。

 施設が那珂川の濁流にのまれ、砂利と砂まみれになったのは半年前。テーブルは散乱、冷蔵庫は傾き、自動販売機も横転。河原のやなは土砂に埋まり、被害額は4、5千万円に上った。

 だが、従業員やボランティアの協力で復旧が進み、昨年中には建物にサッシも入り、冷蔵庫などの修理・購入も完了。店の改修だけで約2千万円かかったが、松浦常務は「思ったより順調に修復できた」と振り返る。

 被災の影響で客数も売上高も減った昨年を巻き返そうとする中、コロナ感染拡大の逆風が吹いた。PRも兼ねて例年120人ほど招く開店披露は中止を余儀なくされた。客の6~7割が東京、埼玉など緊急事態宣言対象地域の住民だけに、松浦常務は「スタートからつまずきそう。多い日は250人来るゴールデンウイークも10~20組しか来ないのでは。もろ手を挙げて喜べない。静かに営業を始めるのみ」と憂慮する。

 オープン前の数日は仕入れや仕込みなどに当たり、オープン後は換気やテーブル消毒もこまめに行う予定だ。

 県の許可が下りた後、数百万円かけて設置するやなは7月下旬に完成する。「夏休み前には何とか収まってほしい。万全な対応を取り、お客を迎えたい」と、望みをつないでいる。