新型コロナ感染症による死者が出たときを想定し、葬儀業者がそろえた防護服やゴーグル、マスク。搬送方法などを懸念している=3日午前、宇都宮市内

 新型コロナウイルスの感染拡大で、県内の葬儀も変化を強いられている。県外の葬儀で県内感染者が絡む集団感染が発生した例もあり、近親者のみで執り行ったり、会葬者の人数を制限したりして、密集のリスクを減らすケースが増えている。「万が一、コロナによる死者が県内で出たらどう対処すればいいのか」。葬儀業者からは、遺体の取り扱いへの不安の声も聞こえる。

 宇都宮市の「市民ホールグループ」は、市の斎場「悠久の丘」で行う葬儀の際、会葬者を20人以内に制限するほか、消毒やマスクなど8項目の対応を施主側に求めている。

 自社会館での葬儀も6日から、席の間隔を2席分あけ、最大50人程度に制限することにした。親族以外の会葬者は着座せず、受け付け、焼香をして会場を出ることもできるようにした。消毒は親族がつけるリボンや受け付けのペンに至るまで徹底する。

 担当の中沢泰久(なかざわやすひさ)さん(46)は「施主側から規模縮小を求められることも多い。感染から守るために手を尽くしたい」と話す。

 佐野市の「こすもす佐野」の担当者は「近親者のみでの葬儀の要望が相次いでいる」、足利市の「マルサン」も「対策の状況を聞いて安心し、会葬者の範囲を広げる人もいる」と説明する。各施設では消毒や換気に気を配り、会食形式の食事をやめるなどしている。

 3月末、本県に勤務する60代男性が参列した愛媛県の葬儀で集団感染が発生していたことが、明らかになった。

 「県内でも不安が広がっている」と「藤岡セレモニーホールみむら」(栃木市)の味村勝弘(みむらかつひろ)社長(54)は指摘する。同社は次亜塩素酸水の噴霧、会葬者の検温もしている。「法事への影響もかなりある」という。

 先日亡くなったタレント志村(しむら)けんさんのケースでは、亡くなってもウイルスが残っているとして、親族が遺体と対面できずに火葬され、「最後のお別れ」もかなわなかった。

 市民ホールグループは万が一に備え、防護服などを準備しているものの、「対応について十分な情報がない」と悩む。別の業者は「遺体を取り扱うわれわれも怖い。搬送方法など、行政から通達や指導がない状態でどうすればいいのか」と不満を口にする。

 宇都宮市は「問い合わせをしているが国や県から詳しい情報がなく、(遺体の対応について)答えられる状況にない」と困っている。