長期休校では親子とも上手なストレス解消が大切だ=8日午後、宇都宮市内

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、県内の小中高校でも再休校の動きが広がっている。家庭で過ごす時間が増え、閉ざされた人間関係が続くと、高まるのが児童虐待のリスクだ。児童相談所には長期休校の影響とみられる親子トラブルが報告され、関係者らは「いらだちやストレスは弱者に向けられる。深刻なケースはまだ報告されていないが、顕在化しづらい状況もある」と警戒している。

 県央児童相談所によると、例年春休みや年度替わりの時期は相談件数が増加するが、「相談の急増や新型コロナの影響が疑われる事例は今のところない」。

 一方で、県南児童相談所には、「虐待」とまでは判断できないものの、休校の影響とみられる親子トラブルの相談が数件寄せられ、「親子げんかが止まらない」と自ら児相の窓口に助けを求めた親子もいた。

 「幼児の泣き声がする。虐待ではないか」と通報があったケースでは、「感染させないよう幼稚園を休ませていた母親が、頑張り過ぎて疲れてしまった」といい、担当者は「これまで児相が関わっていなかった家庭が多い。長引く休校や休業による経済的な逼迫(ひっぱく)など、通常ではない負荷が相当かかっている」とみる。

 とちぎメディカルセンターしもつが小児科の杉田憲一(すぎたけんいち)医師は、「この状況でストレスを感じるのは普通のこと」とした上で、「メールや電話などで親戚や友人と相談したり、ほっとできる時間をつくる工夫をしたりすること」とアドバイス。睡眠と食事の重要性を訴える。

 18歳までを対象に無料電話を設けている認定NPO法人「チャイルドラインとちぎ」には、「新型コロナが怖くて何も触れない。これからどうなるの?」と不安を訴える小学生や「父親が昼間から家でお酒を飲んでいて嫌」など戸惑う子どもたちの声が届く。

 松江比佐子(まつえひさこ)理事長は、「突然学校が休みになり友だちにも会えなくなった。目に見える災害などと違い、子どもたちにとっては、現状を理解できないまま放置されている感じだろう」と推察。性的虐待をにおわせる子もいるといい、「もともと表に出にくい被害。学校など外部の目が届かなくなることで深刻化するのでは」と危惧する。

 性的虐待の増加については、とちぎ性暴力被害者サポートセンター「とちエール」の荻津守(おぎつまもる)担当責任者も「自宅待機や休校が増えることによるDV(ドメスティックバイオレンス)、性的虐待の増加はある」と懸念。「そういう相談が現時点では出ておらず、それが逆に心配な状況だ」と警戒する。

■怒鳴る、無視…苦しむ母親も 本紙緊急アンケート

 下野新聞社が子育て中の母親に緊急アンケートを行ったところ、25人中11人が「今回の子どもの長期休みによって、虐待かそれに近い行為をした」と回答。通常とは異なる生活を強いられる中、追い詰められている母親がいることが分かった。

 アンケートは本紙「はぐくもっと」面の無料通信アプリLINE(ライン)登録者を対象に、2~3日に実施した。

 虐待かそれに近い行為の内容は「過剰に怒鳴り付けた」(8人)を筆頭に「無視した」(3人)「たたいたり蹴ったりした」(2人)と続き、「子どもを置いて出掛けた」(1人)という人も(複数回答)。

 「子どもは思う存分外遊びができず、私も子どもに付きっきり。お互いにイライラがたまり、いつもなら流せるようなことで怒鳴り散らしてしまった」(宇都宮市・39歳)。「ささいなことで激しいきょうだいげんかが増え、感情が抑えきれず怒鳴ってしまった。高学年の子どもと取っ組み合いになった」(宇都宮市・42歳)などの声も寄せられた。

 子どもを怒鳴ったり、たたいたり、無視してしまったと明かした真岡市、女性(40)は「休校にしないでほしい」と訴えるなど、いつもと異なる日常に母親のストレスが募り、弱者にはけ口が向かったことがうかがえた。