首都圏の家族連れから問い合わせも多い貸別荘=8日午前、那須町高久乙

 新型コロナウイルスの感染拡大で、宿泊施設や別荘地のある観光地・栃木県那須町で影響が出始めた。緊急事態宣言が発効した8日、首都圏からの客が多数を占める旅館の中には営業自粛を決めたところも。野外で感染リスクが少ないと人気を博したキャンプ場も同宣言が取り沙汰されてからはキャンセルが相次ぐ。一方、別荘を訪れる人や貸別荘への問い合わせは増加。高原地区のスーパー駐車場には首都圏ナンバーの車が多く、「避難」の様相もみられる。

 「昨日の首相会見での言葉を聞いたら、『お越し下さい』とは言えない」

 同町湯本の旅館「山水閣」の片岡孝夫(かたおかたかお)社長(47)は「10日から23日までの営業を自粛する。苦渋の決断だ」と明かす。

 首都圏からの客が多く、4月からは社外で働く「テレワーク」向けの宿泊プランも始めた。「地方への移動を避けてほしい、命を守る行動を、と言われたら営業できない」。自粛期間中の宿泊予約には「順次断りの連絡を入れる」という。

 3月の利用者が3倍近く増えたところもあるキャンプ場。だが、約2週間前の首都圏の外出自粛要請から客足が遠のき始め、緊急事態宣言が取り沙汰された6日ごろからキャンセルの動きが加速しているという。

 同町高久甲のキャンプ・アンド・キャビンズ那須高原は「(2週間前から)例年よりも2、3割減った。昨日(7日)からキャンセルの連絡が相次ぎ、12、13件に上っている」。

 一方、藤和那須リゾートが運営する同町高久乙の貸別荘などの宿泊施設「ピュアコテージ」には、小学生などがいる首都圏の家族連れから長期滞在の問い合わせが増えているという。

 既に約1カ月滞在している家族連れもおり、五十嵐(いがらし)弘樹(ひろき)総支配人(34)は「『避難』の意味合いが強い」と話す。ゴールデンウイークも日によっては満室近い予約状況という。

 東京都世田谷区、自営業男性(59)は家族で4日前から町内の別荘に滞在。また東京へ戻るが「(感染者のいない)那須ではホッとできる。歓迎されない気はするが、宣言期間が明けたらまた来たい」と話す。

 「来ないでとは言えないが…」と平山幸宏(ひらやまゆきひろ)那須町長は言葉を選ぶ。その上で「感染者のいない那須町の状態を維持することが最も大事。町民も町外から来ている人も、危機感を持って不要不急の外出を控えてほしい」と話した。