献花台の前で黙とうをささげる荒川教育長(手前右)ら=27日午後2時30分、那須町湯本

 「二度と起きてほしくない」「風化させないことが私たちの役目」。大田原高山岳部の生徒7人と教員1人が亡くなった那須雪崩事故から3年となった27日、現場近くの献花台に花を手向けた地域の人々は8人や遺族らを思い、悲惨な事故が繰り返されないことを強く願った。「改めて再発防止に取り組む」。県高校体育連盟(高体連)と合同献花に臨んだ県教委は、途上にある安全対策の前進に向け、決意を新たにした。

 やや薄曇りながら穏やかな空模様のこの日、県高体連などが設けた献花台には、朝から花を供える人々の姿が断続的に見られた。

 「言葉にならない。あっという間に、3年になっちゃった」。毎月27日になるたびに足を運んでいるという、現場近くの売店を営む鈴木成子(すずきしげこ)さん(80)は時の過ぎる早さに嘆息し「二度とこんな事故は起こってほしくない。そう願うしかないね」と事故が起きた斜面を見つめた。

 亡くなった浅井譲(あさいゆずる)さん=当時(17)=と次男が小中学校の同級生という那須塩原市豊浦、パート社員平本祐子(ひらもとひろこ)さん(49)は「今年の成人式を一緒に迎えられず、息子もすごく残念がっていた」。あの日、なぜまれな大雪となったのかが悔やまれるといい「学生の登山の安全をしっかり守り、こうしたことがなくなってほしい」と涙ぐんだ。

 那須岳(茶臼岳)などで登山ガイドを務める宇都宮市立伏町、芝田信久(しばたのぶひさ)さん(63)は「事故を風化させないことが私たちの役目。山には雪以外も含めた危険がある。少しでも啓発していく機会を、これからもつくっていきたい」と言葉に力を込めた。

 午後には県教委と県高体連による合同献花が行われた。県教育委員会委員のほか、県教委や県高体連の幹部計26人が参加し、全員で黙とうをささげた後、一人一人が花を手向けた。

 献花後、荒川政利(あらかわまさとし)県教育長は報道陣に「改めて再発防止にしっかり取り組むと誓いを立てた」と、時折言葉を詰まらせながら語った。昨年までの追悼式に代わり、合同献花とした理由を問われると「本来ならご遺族と一緒に追悼式をできれば良かったが、ご遺族の気持ちを思うと一緒に行うのは難しいと判断した」と説明した。遺族らが県(県教委)などに事故の責任を認めて謝罪することなどを求めて民事調停を申し立てたことについては「真摯(しんし)に受け止めたい。内容を見て、しっかり対応したい」と述べた。

 県高体連の塩沢好和(しおざわよしかず)会長は「亡くなった方々の死を無駄にしないことが一番大切。引き続き沈痛な思いを胸に、再発防止に取り組んでいきたい」と話した。