聖火リレーの実施に向け交通規制について知らせる看板。東京五輪は延期を含めて検討に入った=23日午後、宇都宮市池上町

 国際オリンピック委員会(IOC)が今夏の東京五輪の延期を含めて検討に入ると発表したことを受け、参加国の事前合宿の誘致などに取り組む栃木県内自治体からは23日、先行きを不安視する声が上がった。IOCは4週間以内に結論を出すと示したが、県内の聖火リレーは29日に迫る。聖火ランナーに選ばれた県民も、複雑な心境を吐露した。

 「(IOCの)正式な決定、結論を待つしかない」

 東京五輪・パラリンピック関連の準備を進める県とちぎブランド戦略室の川又修市(かわまたしゅういち)室長は冷静に受け止める。県はハンガリー選手団の事前合宿を誘致し、各市町も交えて覚書を締結するなどしたが、ハンガリーでは新型コロナウイルスで非常事態宣言が出されている。

 川又室長は「現状では選手が来るのも厳しいだろう。4月以降に具体的な(受け入れに向けた)話を進める環境は整っているのだが」と心配する。

 オーストリアのトライアスロン競技の事前合宿誘致に取り組む那須塩原市の担当者は「今準備していることを継続してやっていくしかない」。ハンガリーの近代五種競技の事前合宿が決定し、エジプト代表の事前合宿誘致も目指す栃木市は「現状では話を進められず、暗中模索している」と語った。

 聖火は29、30の両日、県内16市町内を巡る予定。23日に聖火リレーのルートを点検した小山市の担当者はリレーイベントを縮小せざるを得ない状況となっただけでなく、五輪延期の可能性まで浮上したことに「動きが激しすぎる。決定を待つしかない」と漏らした。

 聖火ランナーに選ばれた宇都宮市、大橋香(おおはしかおる)さん(25)は「世界の人が来られるか分からないし、練習もできない選手のためにも(五輪を)延期した方がいい」と考えている。「五輪が延期でも、聖火リレーは今年中に全国でやってほしい。最初の数県だけでは中途半端な気がする」と明かした。

 前回1964年の東京五輪で夫が聖火ランナーを務め、今回は自身がランナーに選ばれた茂木町、久保庭美代子(くぼにわみよこ)さん(72)は「健康や生命に関わることなので(五輪が)延期になっても仕方ない」と理解を示す。「聖火が(最終的に)どうなるのかも含め、はっきりと決まらない中でのリレーは複雑な気持ちだが、多くの友人が『必ず行くからね』と言ってくれているし、走りたい」と望んだ。