老舗ジャズスポット「近代人」。今月に入り、目に見えて客足が落ちた=13日、宇都宮市泉町

 新型コロナウイルスの感染拡大で、「ジャズのまち宇都宮」で生演奏を提供する店が逆風にさらされている。県内2人目の感染者をはじめ全国でライブハウス関連の感染が相次いだことなどから、密集状態にならない店でも客足は遠のくばかり。経営者は「看板の明かりは消さない」と我慢を続けるが、終息が見通せない現状に「店を守れるのか」と不安を隠せないでいる。

 週末を中心にライブを開く宇都宮市泉町の老舗ジャズスポット「近代人」。店主小平卓(こだいらたかし)さん(65)は「飲み歩く人が本当に少ない。観光客も来なくなり、3月になって店の来場者は3割くらい減っている」と嘆く。

 店を開けるとカウンターやテーブル、椅子などを小まめにアルコール消毒するのが日課で、室内換気にも注意している。「密集状態になるほどお客さんが入るわけではないが、少しでも安心してもらえるように」と気を配る。

 演奏者にとって、ライブができる場は欠かせない。近代人でも古株のサックス奏者倉沢秀明(くらさわひであき)さん(72)は「ジャズは即興演奏なので客を前に緊張感のある中でやらないと」と力を込める。先の見えない状況に小平さんは「不安感はある。宇都宮で感染者が増え続ければ、無理はできない」と打ち明ける。

 ジャズや軽音楽の生演奏を行う店などでつくる宇都宮ジャズ協会(17店舗)の鈴木邦乙(すずきくにおつ)会長(65)は「(感染者が相次いだ)大阪のライブハウスのように人が密集する施設の会員の中にはライブ活動を中止したところも出てきた」と話す。

 鈴木会長が経営する食事と生演奏を提供する「インダルス・ドリーム」も今月の客足は4割近く減ったが、生演奏は続けている。「赤字でもお客に感動してもらうのが基本姿勢」と普段通りを貫く。アルコール消毒や換気など衛生面の対応を徹底し「今は我慢するしかない」と話した。