生活習慣病という言葉に最近、違和感を抱くようになった。「成人の慢性病」と言い換えたいほどだ。この言葉には現代社会特有の“自己責任”のにおいがする▼“生活習慣病の芽”を指摘されたとき、食べ過ぎか、運動不足か…。心当たりばかりだ。だが、血圧や代謝の異常は、遺伝的な要因も大きい。誰もが忙しい世の中だ。不健康な暮らしが多少はあっても、病気を責められるいわれは本来、ないはずだ▼患者を診る医師も、同じような問題意識を持ち始めた。2月、名古屋市で開かれた糖尿病の治療と仕事の両立についてのシンポジウム。討論で話題になったのは患者が抱く「スティグマ(汚名、烙印(らくいん))」だった▼患者は「生活習慣が悪い。自己責任だ」という烙印のせいで、職場で言い出せず、忙しさもあって通院がおろそかになる。病気が進み、合併症が出てから慌てて受診する例が後を絶たない。シンポジウムに参加した専門医は、そうした患者を診る悔しさを味わってきた▼仕事中でも気兼ねなく通院してもらえるように、この病気と患者を理解してほしい。日本糖尿病学会などは、患者への支援(アドボカシー)を訴える新聞広告を出して、活動を始めた▼新型コロナウイルス感染症にも通じる「病気の患者を責めてはいけない」という大原則を、再確認しておきたい。