4月から宇都宮短大付属高の教員になる元栃木SC選手の坂田さん=3月上旬、同校

 「栃木教員クラブ」を母体とするサッカーJ2の栃木SCから今春、1人の教員が誕生する。昨季で現役引退したDF坂田良太(さかたりょうた)さん(28)が宇都宮短大付属高の保健体育科教諭として採用された。度重なるけがに悩まされながらもファイトあふれるプレーでファンに愛された不屈の男は「新たなことに挑戦するわくわくと緊張感がある。生徒と真剣に向き合っていきたい」と意気込んでいる。

 熊本県出身の坂田さんは鹿屋体育大4年時の13年に特別指定選手としてJ2熊本に在籍し、14年に栃木SCに入団。17、18年に右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂する大けがを負ったが、昨年7月6日の第21節・アウェー琉球戦で790日ぶりに公式戦のピッチに立った。栃木SCでのリーグ戦の通算成績はJ2が11試合0得点、J3が9試合1得点。

 宇都宮短大付属高から声が掛かったのは昨年末の引退表明直後。「サポーターの方との関わりなどから栃木の人たちの温かさを感じていた」ことに加え、大学時代に教員免許を取得していたこともあり、本県で第二の人生をスタートすることを決断した。同校の須賀英之(すかひでゆき)校長は「サッカー部を強化する目的で採用したわけではない。自ら選択した職業に命を懸けて取り組む心構えなどを生徒に伝えてほしい」と、一教員としての活躍に期待を寄せる。

 坂田さんが現役時代に重きを置いてきたのは「ひたむきさ」だ。「僕自身はサッカーを通し、人として成長できた。ゆくゆくは自分の経験を生徒に伝えていけたら」。さらに大けがを乗り越える原動力となったのは、坂田さんが小学6年生のころに交通事故で急逝した4歳年上の兄晃一(こういち)さんの存在。「兄貴に『俺の分まで全力で生きてくれてありがとう』と言ってもらえるような人生を送りたい」と誓う。

 栃木SCの橋本大輔(はしもとだいすけ)社長は「どんな大けがを負っても努力を続けられる、信頼できる人間。新しい人生ではプロ時代よりつらいことがあるかもしれないが、きっと乗り越えられるはず」とエールを送る。

 「覚悟を持ってやる」と坂田さん。真面目に、懸命に-。戦うフィールドが変わってもファンの心を熱くしたプレースタイルが変わることはない。