本年度は「スマート農業元年」だった。農林水産省は50億円を超える関連予算を初めて計上し、自動運転の農業機械やロボットなどの最新技術の活用を検討してきた▼農業は就農人口の減少や高齢化が深刻な状況となっている。そこで省力化に加え、ICT(情報通信技術)などを農機に取り入れ、新規就農者でも質の高い農産物を作れるようにするのが狙いという▼宇都宮大「ロボティクス・工農技術研究所」所長の尾崎功一(おざきこういち)教授は、その一環で県の依頼を受け、ニラ出荷調整機の開発に取り組んでいる。収穫後のニラの下葉処理を自動化し、外側の葉や付着した土を取り除く▼ニラの栽培から出荷にかかる作業時間のうち、下葉処理と包装などが半分以上を占め、実現すれば大幅に効率化する。開発の背景には、長らく全国1位だった本県のニラ収穫量が、2006年に高知県に抜かれて以降、万年2位が続いていることがある▼調整機は首位奪還の援軍と期待される。尾崎教授は生産農家の意見を聞いて予備実験を重ねてきた。近く試作機のめどを付け、21年度中の実用化を見込んでいる▼ニラは県内全域で栽培され、生産農家は約800戸。1年を通して出荷し、都内の市場ではシェア1位と全国に誇れる農産物である。スマート農業で所得が増えれば就農者増にもつながるだろう。