台風で大きな被害を受けた大和田さんと満開を迎えた桜

 栃木県栃木市の市大平運動公園東側の「さくら広場」で、早咲きの桜が見頃を迎えている。桜を寄贈し、整備してきたのは同市大平町真弓、大和田英雄(おおわだひでお)さん(79)。昨年の台風19号では永野川の堤防決壊により自宅が床上浸水。今も自宅の片付けが続く中、広場の整備も続ける。「大変な人はまだ多いけれど、多くの人の心を癒やせたらいい」。大和田さんはそう願う。

 淡い桜色の「巴波うずま)桜」。濃いピンク色が特徴の「仁科春果(にしなはるか)」-。

 今月中旬。さくら広場はさまざまな早咲きの桜が、すでに満開を迎えていた。

 2014年から広場を整備してきた大和田さんによると、今年は例年よりも早い2月上旬に開花。4月中旬にかけ、50種類350本以上の桜が次々に見頃を迎えるという。

 昨年10月12日夜。広場から東へ100メートルほどの場所にある自宅は、1メートル以上床上浸水した。大平地域に甚大な浸水被害をもたらした永野川の決壊場所からは1・3キロほど離れていた。

 だが、自宅周辺は低地のため、大量の濁流が流れ込んできたとみられる。家財は全損。大事に育てていた珍しい亜熱帯の植物も、全てだめになった。

 広場の浸水は一部だったが、自宅の片付けのため、広場の整備に復帰できたのは先月に入ってからだった。

 頭をよぎったのは、9年前の東日本大震災。発生したのは早咲きの「河津桜」が咲く時期だった。新品種の桜の普及活動などをしていた当時の大和田さんは「花を見た人が元気になってほしい」と願ったという。

 それが、今回は自身が花に癒やされた。「あまり手がかけられなかったが、きれいに咲いた。花は人の心を癒やすんだなと改めて思った」

 新型コロナウイルスの影響もあり、例年よりも来場者は少なめだ。それでも、「散歩のついでに、ちょっと見てもらえるといい」と、大和田さん。「みんなが気持ちよくなれたらうれしい」と語った。