農業や農村には農産物を生産するだけではなく、さまざまな機能があるとされる。雨が降れば土の流出や洪水を防ぎ、景観を保全し、生き物のすみかになることなどを指している▼日本学術会議が、洪水抑止など多面的機能の価値を約8兆円と換算したことがある。国はこうした機能を維持するため、交付金という形で農家などを支援する仕組みを整備した▼その一つに草刈りや水路の泥上げなど、地域の資源を保全する「多面的機能支払交付金」がある。本県は魚や昆虫など地域に生息する生き物の調査などの生態系保全活動を、独自の必須テーマとしている▼一環の「田んぼまわりの生きものマップ」コンテストは10回目を数える。子どもと大人が一緒に行うもので、本年度は那須烏山市の神長(かなが)地域自然を守る会の作品が最優秀賞に輝き、先日表彰された。モクズガニなど多種多様な生き物が描かれ、自然の豊かさが伝わってくる▼守る会幹事の滝田道明(たきたみちあき)さん(67)は「魚や虫捕りなどの経験がない子どもたちに、生き物調査は心に残る感動を与えている」と話す▼県内組織を対象とした県の調査では、生態系保全活動について「豊かな自然を次世代へ残す意識が芽生えた」など約8割が「良かった」と評価した。全国的に誇れる栃木モデルとして、各県に広まってもいい取り組みだ。