共同研究で調査対象となる鬼怒川温泉街の廃ホテル

 栃木県日光市内で廃業したホテルや旅館などの老朽化した民間の宿泊施設が放置されている問題を受け、市は新年度、宇都宮大と連携して、施設の解体に関する共同研究に乗り出す。鬼怒川温泉街の廃ホテルを対象に、解体の概算費用や周辺に与える影響などを調査する。市総合政策課は「専門的な知見をいただき、財源確保を含めた今後の方向性について検討を進めていきたい」としている。

 同課によると、市内には現在、適切に管理されていない宿泊施設などの大規模な老朽施設が18あるとみられている。このうち鬼怒川温泉街に建つ三つの廃ホテルを対象に調査を始める。

 3施設は国道沿いの渓谷の斜面に建つ。地元関係者によると、放漫経営やバブル崩壊、団体客の減少などの理由でそれぞれ廃業したという。廃虚となって約20年が経過する施設もあり、温泉街の景観を損ねている。老朽化による建物の危険性なども懸念されており、地元住民からは「長年の地域の課題。観光地に欠かせない美しい景観を取り戻してほしい」との声が上がる。

 市はこれまで、廃ホテルに不法投棄された粗大ごみの撤去や防護柵の設置、危険回避の応急措置などを実施してきたが、「所有者や管理者らと連絡が取れない上、所有者らによる解体、整理は難しい状況だ」(同課担当者)。このため撤去に向け今後どのような手法が取れるか、同大と共同研究を始める。

 新年度は3施設のうち1施設の調査に着手する。現地確認や建物の構造などを調べ、解体に必要な概算費用を算出したい考え。建物の危険性、解体に伴う国道や隣接する源泉施設への影響なども調査する方針で、同大地域デザイン科学部建築都市デザイン学科の教員が調査に協力する。新年度予算案に大学連携共同調査研究事業委託費55万円が盛り込まれた。