相変わらずマスクは、どこに行っても売られていない。新型コロナウイルスの感染予防はもちろん、春の訪れが例年になく早く、花粉症対策に難儀する人も多いだろう▼普段から大量に備蓄しているはずもなく、早く落ち着くのを待つしかない。だが、同じ備えでも、いつ来るか予測できない大規模災害対策はのんびり構えていられない▼災害に備えたインフラ整備について、国土交通省の担当者に聞く機会があった。昨年の台風19号に似ているとされた1958年の狩野川台風では、静岡県内の流域で14カ所の堤防が決壊し、死者は853人に上った▼これを教訓に65年に整備されたのが狩野川放水路だ。19号での総雨量は狩野川台風を上回ったが、放水路に水を流した結果、死者・行方不明者、堤防決壊はいずれもゼロに抑えられた▼想定された防災機能を発揮する場面に直面したのは、完成から54年たって初めてだったという。明日なのか100年先なのか、災害はいつ起こるか分からない。長く使われなくても用心に越したことがないのが、今の防災だ▼県内では台風19号の被災を経て、安心安全な県土づくりへ基盤整備が進む。子や孫、さらに先の世代に先見の明を感謝されるような取り組みを期待したい。それぞれの設備の機能が、必要とされる災害がないのが理想なのだが。