原発を持つ各国は、核廃棄物の処分場の確保に苦しんでいる。しかし最近、急速に処分場の選定事業を進めている国がある。カナダだ▼カナダの核燃料廃棄物管理機関は1月、オンタリオ州南部の地主と調査のための立ち入りなどで合意し、近く試験的な掘削を始める。ほかに1カ所で調査中であり、2023年には候補地を1カ所に絞り込む予定だ▼10年に候補地を募ると、すぐに22の地域が名乗りを上げたという。日本で処分事業を担う原子力発電環境整備機構が発足したのは00年。調査どころか地名すら挙がらない日本は、とうに抜き去られた。実はカナダの処分事業も一度つまずいている▼1994年に環境影響報告書を公表したが、98年、社会的受容性が不十分だとして国が退けたのだ。仕切り直しでは先住民を含む国民から処分の選択肢について広く調査し、多くの専門家の参加を得て、安全とセキュリティーを最優先にした実施計画に作り替えた▼決め方、手順で合意を得ることが優先された。日本でも、原環機構が各地で対話集会を頻繁に開くが、それ以前に、候補地を決める手順に合意がない。地方の首長も地震・火山の専門家も、国民も納得していない▼独善的な事業計画の下で何をしても理解が深まるとは思えない。遠回りでも、掛け違えたボタンは一度外すしかない。