第2の故郷・釜石への思いが詰まった自主制作CDを手にする長山さん

第2の故郷である岩手県釜石市への思いを込めて歌う長山さん(長山さん提供)

第2の故郷・釜石への思いが詰まった自主制作CDを手にする長山さん 第2の故郷である岩手県釜石市への思いを込めて歌う長山さん(長山さん提供)

 東日本大震災で被災し、1千人以上の死者・行方不明者が出た岩手県釜石市の復興を願い、音楽活動を続ける人がいる。社会人ラグビーの名門・新日鉄釜石(現釜石シーウェイブス)の元プロップで、国学栃木高ラグビー部FWコーチを勤める会社員長山時盛(ながやまときもり)さん(57)=栃木県小山市雨ケ谷。このほど、第2の故郷への思いを込めたCDを1千枚自主制作した。あの日から9年。「まだ仮設住宅にいる人もいる。微力でも力になりたい」と思いを強めている。

 昨年8月までに制作した2曲を収録。震災の2カ月後、現地で見た惨状が曲の原点にある。「自分に手伝えることは何か」。心に響いた復興支援ポスターのフレーズを歌詞にした。「前より良い街にしてやる-」。1曲目の「釜石 IS ALRIGHT!」は、一人前のラガーマンに育ててくれた街への感謝と再起への願いを込めた。

 「人を探しています-」のフレーズで始まる「恋の峠」は津波にのまれて行方不明になった、なじみの店のマスターを歌った1曲だ。ブルース好きの無口な大酒飲みだった。「もういい加減(かげん)帰ってきてもいいんじゃない」。思いをメロディーに託した。全国各地のイベントで歌い、涙を流して聴いてくれる人もいた。

 世界が熱狂した昨年のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会。釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムでの第2戦が台風19号で中止になり、「復興の勢いを止めちゃいけない。音楽で貢献したい」とCD化を思い立った。

 1枚1千円。収益は「釜石市ラグビーこども未来基金」に寄付する。販売方法は活動名「Kenny Yellow Blues」のフェイスブックで発表する。

 14日に同市内で予定していたツアーは新型コロナウイルスの感染拡大で中止になった。それでも「負けない。ゴールデンウイークや夏にまた釜石へ行って歌ってくる」。タックルを受けても立ち上がる選手のように、故郷とともに復興に向けて歩んでいく。