あの日と違って、夜空の星は遠くに見えた。今年3月上旬、東日本大震災で犠牲者が出た那須烏山市内の現場に立った。

 大震災当日、取材を終え本社に戻ると、大きな揺れに襲われた。犠牲者が出たとの一報を受け、那須烏山市内へ取材に向かった。3月とはいえ、いてつく寒空に靴の上は霜で真っ白になった。空を見上げると、見たこともないまばゆい夜空がある。「あんなに星空がきれいだったのは子どものころ以来」。消防団で深夜まで現場にいた皆川孝行(みながわたかゆき)さん(58)も当時を振り返る。停電の中、多くの人々が復旧に当たった。

 東日本大震災から9年目を迎えた。今も被災地の人口流出は止まらない。原発事故の風評被害も続く。県内の仮設住宅やホテルなどに避難した被災者は古里に戻れただろうか。原発事故で鹿沼市へ避難し、中学生と遊んでいた飯舘村の子どもは元気だろうか。

 多くの人々が震災の日の夜空の星がきれいだったと話していた。あの日の星は大勢の人たちの未来のような気がした。