原発事故前の大熊町の自宅の写真を見る弘さん(左)と都さん=10日午後、鹿沼市栄町2丁目

 東日本大震災から11日で9年。東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県大熊町から本県へ避難した武内弘(たけうちひろし)さん(72)と妻都(みやこ)さん(70)は10日、鹿沼市栄町2丁目の自宅で「いつになったら帰れるのかとの気持ちがずっとある」と古里への思いを募らせた。大熊町の自宅は現在も帰還困難区域のまま。「あのまま大熊で暮らせていたら」という思いを抱えながらも、前を向いて今の生活を続けている。

 「おじいちゃんがいるから来たよ」

 武内さん夫婦は9日、墓参りのため大熊町を訪れた。お墓には、一緒に避難生活を送り2018年3月11日に病気のため97歳で亡くなった弘さんの父が眠る。人の立ち入りに制限があるため、火災防止で線香に火を付けることはできない。次にいつ来られるか分からず、供える花は生花でなく造花にした。

 東日本大震災翌日の3月12日、弘さんは住み慣れた地を離れることを嫌がる両親を「すぐ帰ってこられるから」となだめ避難した。何カ所も避難所を移った後、娘のいる宇都宮市へ。12年12月からは、知人の紹介で現在の一軒家で暮らし始めた。