東日本大震災について振り返る荒川住職

 【高根沢】2011年3月11日の東日本大震災発生から、間もなく9年を迎える。県内で最大規模となる震度6強を記録したのは、町をはじめ宇都宮、真岡、大田原、市貝の3市2町だった。

 当時、墓石400基のうち、9割以上が倒壊する被害に遭った宝積寺の定専寺を訪ねた。荒川義憲(あらかわぎけん)住職(79)は当時を回想、墓石に残る傷は「記念になる」と語った。

 荒川住職によると地震発生当時、庭の松の木は大きく左右に揺れ、瓦屋根は崩れた。灯籠は12基中、11基が倒壊した。

 水道や電気などが不通となり余震も続く中、車内で過ごした。周辺では半壊した住宅も多かった。

 本堂から少し離れた場所にある墓地は、大きな被害を受けた。業者に依頼した墓石の復旧は「既存の石を元に戻す」という方法で所有者の費用負担減を試みたが、それでも5年を要したという。多くの墓石には倒壊時にできた欠けやひび、傷が今も残る。

 荒川住職は「傷は記念になる。今でもこの印を見る度に、当時のことを思い出します」と静かに話した。