卒業式などに欠かせない色鮮やかな花束。催しの縮小に伴う注文の変更が相次ぐ=5日午前、宇都宮市駅前通り3丁目の生花店「パレオ」

 新型コロナウイルスの感染拡大は、県内の生花店にも影を落としている。卒業式や関連行事を縮小して行う学校が相次ぎ、花束などの注文が大幅に減少、予約のキャンセルや変更が続く。「人生の節目を彩る花が少なくなってしまい残念」。出会いと別れの春に、店主らは事態の収束を願っている。

 「予約の変更やキャンセルは20件近く。仕方ないけれど、さみしいですよね」。宇都宮市駅前通り3丁目の「パレオ」の山崎由紀子(やまざきゆきこ)さん(48)は肩を落とす。幼稚園・保育園から大学まで広く注文が来たが、政府が小中高校に臨時休校を要請した2月下旬から、卒業式や謝恩会に関連する変更が続いた。

 花束20、30束の注文が数束に減ったほか、来賓や保護者の不参加で会場の玄関や控室の飾り付け、胸のコサージュが不要になった。山崎さんは「企業の送別会や入学式には何とか収まってほしい」と願う。

 思わぬ展開に助けられた店もある。栃木市嘉右衛門町(かうえもんちょう)の「スピレ フルリスト」では、花束のキャンセルで大量の生花が余った状況を、なじみ客が2月末、ツイッターに投稿したところ、来客や注文が相次ぎ救われた。店主の芹沢有沙(せりざわありさ)さん(36)は「(催しが縮小して)誰もがつらいと思うが、個人店なので本当に助かった」と感謝する。

 小山市下国府塚(しもこうつか)の「とのつか花園」では、卒業式で需要が高いサイネリアを栽培。開花のタイミングを合わせ準備したが、注文のキャンセルや鉢数を減らす変更が続いた。戸野塚和俊(とのつかかずとし)代表(46)は「他の地域も同様なので、市場に出しても値崩れしてしまうだろう」と残念がる。

 宇都宮花き地方卸売市場を運営する宇都宮花き(宇都宮市上御田町(かみみたちょう))の青木一芳(あおきかずよし)社長(66)は「洋花を中心に1割程度、単価が前年を下回っている」と説明する。例年3月は卒業式などでバラやチューリップなど洋花の人気が高まるが、今年は2月下旬から注文のキャンセルが目立つという。「年度初めの行事も自粛となれば、さらに値が下がる可能性もある」と事態の長期化を不安視する。