「ウイルスの特徴や感染の状況を正しく理解してほしい」などと話す尾身自治医大名誉教授=東京都港区

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、栃木県内でも2人目の感染者が確認された。政府の専門家会議副座長の尾身茂(おみしげる)自治医大名誉教授は7日までに、下野新聞社の取材に応じ、ウイルスの特徴などを理解することや、人が集まり風通しが悪い場所に行かないなど個人個人の行動が重要だとの考えを強調した。

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 一番大事なのは、ウイルスの特徴や感染の状況を正しく理解することだ。

 特徴はインフルエンザと比較するとよく分かる。インフルエンザはその場にいる人全員を感染させるが、このウイルスは5人が同じ空間にいたとして1人しか感染させない。結果としてそうなっている。その1人がライブハウスや飲み会、雀荘などに行くと、そこで感染する。そこで感染した人が次と、こうした感染の仕方をする。

 感染がいろんな地域に拡大しつつある。手が届く距離で一定程度の会話をし、しかも複数いる狭い空間でクラスター(感染者の集団)が起きる。だからそういうところに用がなければ行かないでほしいと言っている。感染拡大を抑えるにはクラスターから次のクラスターに行かないよう、クラスターつぶしが大事だ。

 このウイルスは感染者の80%は軽症で、20%弱が重症化するが、その人たちもかなりは治る。ただ高齢者や持病を持った人はかなり厳しいという、コントラストがある病気だ。

 感染しても最初の5~7日間くらいまではかなり軽微な風邪症状が続き、治る人がほとんど。ところが悪くなる人は1週間くらいたってから急激に悪くなり、入院も長い。だから最初の3日くらいまでは様子を見て、そこでも熱が下がらなければ1週間を待たずに病院に行ってほしい。呼吸に症状がある場合や高齢者はもっと早く行ってほしい。

 北海道は行動自粛を求めるような緊急事態宣言を出した。合理的で積極的な対応なので、感染者がじわじわではなく一気に下がる可能性がある。行動変容をしてもらったので、1~2週間すると効果が出たのかどうか見えてくる。それは他県の参考になると思う。

 この戦いはすぐには終わらないが、戦いには3本柱がある。一つはクラスターを早く見つけること。もう一つは医療体制をしっかりすること。そして一般市民の行動変容だ。人々の行動が変容してくれば感染力を示す数字が減ってくる。早く終息させるには個人個人の行動が非常に重要。他人ごとではなくみんなができることをやる。オールジャパンの覚悟が必要だ。

 栃木県で2人目の感染者が出たが、若い人も含めてリスクの高い場所は避け、熱が出てもすぐに病院には行かないでほしい。拡大しないに越したことはないが、拡大したときには県内でどのような病院で診るのかなどのプランを立て準備をしてほしい。

◇尾身茂(おみしげる) 1949年東京都生まれ、自治医大卒。独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)理事長、医学博士。本社客員論説委員。