上告棄却の一報を受け、有希ちゃんの墓前で手を合わせる粉川さん=6日午後、日光市猪倉

 日光市(旧今市市)大沢小1年の吉田有希(よしだゆき)ちゃん=当時(7)=が殺害されてから14年3カ月。最高裁の上告棄却決定で勝又拓哉(かつまたたくや)被告(37)の無期懲役が確定することになり、地元の関係者は6日、「ようやく区切りがついた」と安堵(あんど)する一方、状況証拠による有罪認定に複雑な思いを口にする人も。無罪を主張してきた被告の弁護団は「日本の司法制度への猜疑(さいぎ)心を強くしている」と怒りをあらわにした。

 「上告が棄却されたと知ってほっとした」。事件当時、大沢小校長だった大根田民雄(おおねだたみお)さん(73)は表情を緩ませた。3週間ほど前に有希ちゃんの墓参りをしたばかり。上告棄却の一報に「何か巡り合わせがあるようだ」と感慨深げに話した。有希ちゃんの菩提(ぼだい)寺、泉福寺(日光市猪倉)の長谷川興賢(はせがわこうけん)住職(71)は「裁判の結果を有希ちゃんのみ霊に報告したい」と静かに語った。

 「大きな節目。この事件の影響は大きかった」。当時の同校PTA会長で、事件後に発足した自主防犯団体「大沢ひまわり隊」初代隊長の粉川昭一(こなかわしょういち)さん(56)は目を潤ませた。

 一審宇都宮地裁の裁判員裁判を傍聴してきた粉川さん。「被告の証言する様子に矛盾を感じた」と振り返る。状況証拠を基にした二審判決の確定について「誰もが納得する明らかな証拠はないので、これで解決だと思えない部分は残る」と吐露した。

 ひまわり隊は今も活動を続けている。粉川さんは「子どもを見守る取り組みに終わりはない」。現校長の福田倫夫(ふくだともお)さん(60)も「子どもたちの安心安全を守る取り組みを続けていきたい」と気を引き締めた。

 同市の大嶋一生(おおしまかずお)市長は「二度とこのような事件が起こらないよう地域や学校などと連携し、引き続き安心で安全なまちづくりに取り組む」とコメントした。

 福田富一(ふくだとみかず)知事も「子どもたちが安心して暮らせる社会の実現に向け、全力で取り組む」とのコメントを出した。

 当時の捜査関係者からも安堵(あんど)の声が相次いだ。元県警幹部は「やることを尽くしてきた結果が報われた」と胸をなで下ろす。別の元幹部は「裁判所の判断をずっと気に掛けてきた」と打ち明け「これで有希ちゃんの墓前に報告できる」。事件発生当時の様子を振り返りながら「二度とこのような事件が起こらないようにしなければいけない」と言葉に力を込めた。