日光東照宮の境内ではマスク姿の個人客が目立つ=3日午前11時45分、日光市山内

 新型コロナウイルスへの感染拡大の影響が、日光市の世界遺産「日光の社寺」を直撃している。外出の自粛ムードが続く中、日光東照宮は2~6月に特別祈祷(きとう)を申し込んでいた団体客計4千人弱の予約がキャンセルとなった。周辺の物産店では今月の団体予約が全て取り消しに。「東日本大震災時のような深刻な事態になりつつある」「このまま長引いたら廃業してしまう」。観光関係者からは悲鳴が上がる。

 「2月半ばからキャンセルが出始め、多い日は4件立て続けにあった」。東照宮の湯沢一郎(ゆざわいちろう)権宮司(58)は困惑した表情を見せる。

 東照宮では今月既に、特別祈祷を申し込んでいた10団体約500人がキャンセルとなったほか、4~6月に予約していた首都圏からの団体客計約3千人超が参拝を見送った。来年に延期予定という。

 境内で目立つのは個人客が中心で、マスク姿も多い。湯沢権宮司は「参拝が確定していた団体の予約がこれだけの規模でなくなるのは、過去に例がないのではないか」と打ち明ける。

 同じ世界遺産の日光山輪王寺も、団体の参拝者は減っているという。社寺では4月以降、伝統の祭事が控えており、鈴木常元(すずきじょうげん)総務部長(63)は「(イベント開催などが自粛される)2週間たってどういう状況になっているか心配。様子をみるしかない」。

 団体客の減少は周辺の飲食店などにも大きな痛手となっている。西参道の土産品・食事処「冨士屋観光センター」は今月、国内外からの団体客計約4500人の予約が全てなくなった。

 伴博親(ばんひろちか)社長(84)は「もともと2、3月は少ない時期だが、今は個人客も減っている。東日本大震災後の自粛ムードより状況が悪い感じ」と説明。先行きは不透明で「このまま長引いたら、廃業してしまう所が出てしまう。早く終息宣言が出ないと手の打ちようがない」と苦渋の表情を浮かべた。