【茂木】古口達也(こぐちたつや)町長は3日開会した定例町議会の一般質問で、昨年の台風19号で大きな浸水被害を受けた大瀬の那珂川沿いにある町営の宿泊研修施設「ふるさとセンター茂木」の改修を断念、廃止して取り壊す方針を示した。開業以来那珂川の増水で4回の浸水被害を受け、現在地での改修や改築は不可能と判断した。平野喜万(ひらのよしかず)議員の質問に答えた。
答弁で古口町長は「1階の天井まで水没し、壊滅的被害を受けた。改修費用は約1億円と見込んでいるが、施設のかさ上げなどの対策が必要になる。築36年で老朽化も進み、費用対効果の面からも再建は厳しい。取り壊し、廃止の方向で進めたい」と述べた。
同施設は台風19号で同様に被災した大瀬観光やなの隣に1983年開業した。鉄筋コンクリート2階建て8室で43人を収容、地元の協議会が指定管理者になり人気観光スポットの手頃な公共の宿として親しまれた。固定客中心に年間2千~3千人が利用していた。
本体の建設費1億6500万円のうち農林水産省の補助事業で8250万円の国費が使われ、耐用年数を10年残した現時点で施設を廃止し財産を処分すると1750万円を国に返還する必要があるという。
これについて古口町長は「被災地であることを考慮して、県を通じてできるだけ負担を軽減、できれば免除してもらえるよう交渉中だ」とした。