気絶させたイノシシはナイフで「止めさし」される。過酷な作業だ

 イノシシによる獣害が深刻化する中、茂木町では鳥獣害対策で捕獲されるイノシシの数が、本年度は28日現在で過去最高の783頭に上っている。ただ、これでもイノシシの見かけの数は減らないという。捕獲許可を持つ人は84人いるが、実際に本年度1頭以上捕獲して報奨金を得た人は同日現在55人。住民の期待に応える使命感が作業の支えだが、高齢化の懸念もある。生き物の命を絶つ過酷な捕獲の現場に同行した。

 24日昼前、小深の町道上のくくりわなに右前脚を取られてもがいていたのは25キロほどの小ぶりの雄だった。写真を撮ろうと近づくと猛烈に突進。慌てて飛びのいた。「もしもっと大物だったら」とぞっとした。近くの道路脇ののり面はえぐられ大穴が開いていた。

 わなを仕掛けた同所、会社役員小林恒夫(こばやしつねお)さん(72)が仲間2人と協力して手製の道具で鼻先をワイヤでくくって動きを止め、カシのこん棒で後頭部を一撃。気絶させた状態で素早くナイフで心臓近くの動脈を切り「止めさし」する。失血してとどめを刺されたイノシシはすぐ動かなくなった。この間2、3分。

 小林さんは本年度これが34頭目だ。手際の良さに驚いたが「最初にとどめを刺したときは1週間眠れなかった」という。同じく24頭捕っている仲間の山内、大工檜山二郎(ひやまにろう)さん(72)が「ある、ある」とうなずく。