新型コロナウイルスの感染が疑われる患者の来院に備え、上都賀総合病院に設けられた発熱者向けの受付=19日午後、鹿沼市下田町1丁目

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、栃木県内の感染症指定医療機関以外の病院で、備えが進みつつある。感染者を受け入れる事態などを想定し、具体的な対応手順を定めたり、従来以上の院内感染対策を講じたりしている。関係者はできる限りの知恵を絞り「地域医療の維持が使命」と緊張感を高めるが、その一方で、病院運営に与えるリスクから「本音は受け入れたくない」との声も漏れる。

 「いつ感染者や感染が疑われる患者を受け入れる事態になってもおかしくない」。上都賀総合病院(鹿沼市下田町1丁目)の担当者は表情を引き締める。

 県内には感染者を受け入れる指定医療機関が7カ所あるが、厚生労働省は感染者の急増に備え今月、指定以外の医療機関でも受け入れ可能とする通知を出した。そのため、指定医療機関でない上都賀総合病院も備えを進めてきた。

 対応マニュアルを作り、感染が疑われる患者を一般の患者や職員と極力接触させず診察できる体制を整えたほか、看護師は常に消毒薬を携行。患者を受け入れる病床を段階的に増やす手順も定めた。院内のマスクの在庫が底を突きかけ、手作りする案も出ているが、院内感染は一般外来の停止につながるだけに「地域医療の維持に全力を尽くすのが使命」と認識する。

 「『(感染が疑われる患者が)来たからどうしよう』では対応できるはずがない」。県南の中核病院の担当者も強調する。上都賀総合病院と同様、医師や看護師ら関係者が対応マニュアルを共有するほか、感染を防ぎながら診察したり、患者を受け入れたりする流れのシミュレーションも行ってきた。

 戸惑いの声もある。県央の病院は「受け入れは現実的に難しい」。対応する医師らスタッフを含めた院内感染を防ぎ、通常の診療と感染者の対応を両立する体制にするのは難しいという。別の県内の病院関係者は「本音は感染者を受け入れたくない」。職員らは感染症対応にたけておらず「院内感染による病院運営のリスクが拭えない」と漏らした。