高齢者施設の入り口でアルコール消毒する来訪者=14日午後、宇都宮市田野町

 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)で国内初の死者が出たことなどを受け、県内の高齢者施設でも不安が広がっている。死者が80代の女性だったほか、高齢者は重症化しやすいとされるため、危機感を募らせるが、新たな対策などは見いだせず「インフルエンザと同様の対策を徹底し続けるしかない」との声が漏れる。一方、感染症の専門家はあらためて冷静な対応や手洗いなど予防の徹底を呼び掛けている。

 「経験上、インフルエンザでもノロウイルスでも1人感染者が出てしまうと、施設内で広まるのは早い」

 宇都宮市田野町、特別養護老人ホーム「宮の里」の植木一成(うえきかずなり)施設長(45)は強調する。全職員に常に消毒のスプレーを持たせ、面会者に消毒、マスク着用などを徹底する。国内で拡大する感染に「どのように広がっているか分からない」と不安を語るが「やれる対策をやるしかない」と話した。

 複数の高齢者施設を運営する那須烏山市滝田の社会福祉法人「敬愛会」の滝田勇人(たきたはやと)理事長(39)は「インフルエンザ対策などに厳戒態勢で対応してきたが、新型コロナウイルスは感染経路が見えにくく、ぴりぴりした感じはある」と受け止める。面会者には、その場で体温を測ってもらうなどの対応も取っている。

 特養老人ホームなどの施設では、自宅と施設を行き来するデイサービスを併設している所も多い。佐野市堀米町の特養老人ホーム「万葉」の臼井宏巳(うすいひろみ)施設長(44)は「入所者や職員、面会者への対策を徹底できても、(デイサービスの)利用者の家族まで含めた対策は難しい」と漏らす。

 県老人福祉施設協議会の大山知子(おおやまともこ)会長は「各施設とも戦々恐々としているだろうが、新たな対策がないのも実情」とし「ウイルス侵入を防ぐ基本的な方策を続けるしかない」と話す。引き続き加盟施設への情報提供などを行うという。

 一方、自治医大付属病院感染制御部の森沢雄司(もりさわゆうじ)部長(53)は「亡くなった方が出たからといって予防の仕方が変わるわけではない」と指摘。「過剰に不安にならず、手洗いや手指衛生の徹底、人混みを避けるといった対応を引き続きやってもらいたい」と強調した。