県内に住む50代の男性は20年前に会社勤めを辞め、以来自宅に引きこもる。同居する80代の母親の年金が頼みの綱。母親への暴行も散見される▼50代の引きこもりの子どもを80代の親が養う「8050問題」は、生活困窮や社会的孤立などによって親子共倒れになる懸念がある状況を指す。引きこもりの長期化、高齢化で多発し、その対策が国を挙げて急がれている▼県の委託を受け本県で唯一、中高年の引きこもりの支援に取り組んでいるのが、宇都宮市にある「県子ども若者・ひきこもり総合相談センター ポラリス☆とちぎ」だ▼運営に携わる中野謙作(なかのけんさく)さんによれば、冒頭のケースでは本人との接触はいまだに実現できていないが、母親に接し方をアドバイスし徐々にではあるが事態は改善しつつある。息の長い取り組みが欠かせず、おのずと支援する側の人手不足が切迫する▼県は新年度予算案に、支援相談員の配置や専用相談電話の設置を新規事業として盛り込んだ。小山市は4月に県内市町では初の相談支援室を発足させる▼秋田県藤里町は人口3千人に満たない過疎の町だが、中高年引きこもり対策の先進地として全国に名をはせる。家から出た後の居場所づくりと就労につなげる試みが成功し、当事者が激減したからだ。藤里方式が本県にもくまなく広がっていけばいい。