その昔、最も苦手だった教科が美術。工作はまだしも、描く方ははまったく駄目で、今でも芸術的センスがないことには変な自負がある▼そんな感じだから、美術展などは堅苦しそうで訪れることはなかった。しかし、初めて足を運んだ東武宇都宮百貨店で開催中の再興第104回院展宇都宮展は、思いのほか面白かった▼入り口の真っ正面、里山の田園風景が150号の画角いっぱいに広がる大作が目に入ってくる。細かく描かれた田んぼや家屋が目を引く。高田裕子(たかだゆうこ)さん(栃木市)の入選作だ▼大好きだという、大平山と晃石山を結ぶ尾根から見渡した故郷の風景。県内の県立高校美術教諭であり、「中途半端はいや」と、多忙な合間を縫い3年かけて描き上げた。上方にはハンググライダーが飛び、細部と併せた印象は「楽しい」に尽きる▼昔は花鳥風月が重視され、自転車を描いただけで苦言が出たらしい。だが会場では「縦糸は伝統、横糸は現代」と院展同人から、変わりつつある作風と面白さについての解説があった。高田さんが描く横糸は、食わず嫌いが心地よく会場を巡る先導役となった▼現在、小紙は何点かの代表作を連載で紹介しているが、やはり実物の魅力には勝てない。ぜひ多くの人に会場へ足を運んでほしい。にわかファンのたわ言などと言わずに。17日まで。