夜の酒席の後や遅い列車で帰ってきた際、タクシーを使うか否か迷う。酔い加減や荷物の具合によるが、大体は徒歩になる。初乗り運賃だけの乗車は気が引けるからだ▼ではタクシー側は、初乗り乗車をどう思っているのか。快くハンドルを回す運転手が大多数だろう。だが「舌打ちされた」という話を聞くし、業界にも「態度が悪くなった」と苦情が寄せられるという▼県内のタクシー業者が、初乗り運賃を1・1キロ500円に改定する申請を出した。実質は値上げだが、「ちょい乗り」を促し全体の需要を喚起する狙いがある。目的達成には乗客、運転手とも意識を改めさせなければならないだろう▼3年前に同様の改定をした東京では、利用客、売り上げとも増えた。ただ、これは「流し営業」で継続的に乗客が期待できる地域ならではの結果。乗り場が遠ければ「迎車」が一般的な県内では通用しない▼迎車距離によっては、乗車距離が短くてもワンコインでは済まなくなる。効果を上げるには、常に乗車待ちできる専用スペースを増やすなど、新たな対応は欠かせない▼県内のタクシー運転手は、65歳以上が5割を超える一方、40歳未満は4%弱にすぎない。低賃金など労働条件が嫌われているのは間違いない。新たな試みが、地域交通を支える人たちの待遇改善につながればいい。