台風19号の来襲から4カ月、当時の話は今も身に迫る。宇都宮市江曽島町で廃棄物収集運搬などを手掛ける宇都宮文化センター社長の阿部欣文(あべよしふみ)さん(56)は、見事な危機管理で災害を乗り切った▼昨年1月、宇都宮市は10年ぶりに姿川、田川ハザードマップの改訂版を発表した。想定しうる最大規模の降雨を100年に一度から1千年に一度に見直した。対象区域が大幅に広がり、洪水浸水想定区域全戸に改訂版を配った▼会社は田川沿いにあり、マップでは最大3メートルの浸水が想定された。眺めた阿部さんは、対岸の結婚式場が対象区域外であることを発見。早速、支配人に豪雨の際の車両避難を打診したところ快諾を得た▼9月には車両を搬入する防災訓練を実施した。翌月の台風19号の際には、正午から5時間掛けてごみ収集車や高圧洗浄車、吸引車など特殊大型車両70台を社員と共に避難させた。会社敷地は110センチ冠水し、発電機など1千万円の損害があった▼仮に車両が水没したら被害は数億円に上り、その後も運用できずに大ダメージを負うところだった。台風直後、各車両は災害ごみ収集や道路の汚泥回収などで活躍し、翌週の自転車ロードレースの環境整備にも貢献した▼まさに「備えあれば憂いなし」である。実際に対策を講じる大切さを阿部さんの行動が教えてくれた。