ソサエティ5・0、エバンジェリスト…。7日公表された県の新年度予算案には随所にこんな横文字が出てくる。IT弱者の当方には何のことやら皆目見当が付かない▼内需拡大の掛け声に押され、ハコもの行政が大手を振るった時代は、善しあしは別にしても分かりやすかった。財政難が極まる昨今はいきおいソフト事業に知恵を絞り、予算の目玉に据えざるを得ない▼自治体が単独で取り組む公共施設の整備に充当される地方債「地域総合整備事業債」が創設されたのは1978年。本県でも県なかがわ水遊園はじめ大規模施設が相次いでお目見えした。後にハコもの行政を助長するとの批判が高まり廃止された▼新年度末には県債残高は1兆2千億円近くまで膨れ上がり、職員費や医療福祉経費などの義務的経費が予算全体の6割を超える。県財政課のOBいわく「これでは夢のある予算はなかなか作れない。台所のやりくりに追われるだけ」▼予算発表の恒例行事だった語呂合わせが取りやめになって久しい。財政課の職員がコンクールで出来栄えを競い合った遊び心は、厳しい折にはそぐわないということらしい▼社会全体が閉塞(へいそく)感にさいなまれ、予算案もその縮図と言えるだろうか。福田富一(ふくだとみかず)知事が強調した「とちぎの未来を担う人づくりを進めたい」との言葉に期待したい。