中国湖北省武漢市で発生した新型肺炎への対応で、北朝鮮は中国との空路、鉄路を封鎖し、中国からの観光客を遮断する措置を早々と講じた▼制裁圧力の影響で医療物資が不足している状況や、脆弱(ぜいじゃく)な保健環境などが背景にあるとみられる。制裁の対象外である中国人観光客の流入を遮断せざるを得ないことは、外貨不足に悩む北朝鮮にとっては痛手となろうが、背に腹は代えられないということだろう▼中国で拘束された脱北者の送還も一時停止されているという。韓国では日本と同様、チャーター便を手配し武漢在住の韓国人の帰国を進めているが、帰国後の一時隔離施設の運営を巡って一騒動が起きている▼政府が一時隔離施設に指定した、忠清南道(チュンチョンナムド)牙山(アサン)と忠清北道(チュンチョンプクド)鎮川(チンチョン)の公務員研修施設の周辺住民が「二次感染の恐れがある」として受け入れ反対運動を起こしたのだ▼施設に通じる道路にトラクターなどを動員してバリケードを築き、道路を封鎖して警察とにらみ合う場面もあった。結局は、約350人の帰国者を受け入れることで落ち着いたが、周辺住民のわだかまりはくすぶっている▼「見えない敵」といわれる新型肺炎を巡る南北の対応ぶりは、日本と比べると過敏のように思えるが、いずれも感染実態を巡り情報が正確に公開されているのかとの疑念が背景にあるようだ。