町総合情報館で開催されている企画展「お酒・おさけ・オサケ」

 【芳賀】明治時代にワインやブランデーを醸造していた町内の酒造りの歴史を紹介する初の企画展「お酒・おさけ・オサケ」が町総合情報館(知恵の環館)で開かれている。ブドウ栽培やワイナリー設立の経緯などをまとめたパネル、当時のワインの価格や生産・販売などを記録した決算報告書、明治~昭和時代の燗(かん)とっくりや結納の際に用いられた角だるといった酒に関わる道具類など計約30点を展示している。3月22日まで。

 1878(明治11)年、新しい農業技術や農作物の研究を目的にした農事改良専門会社「明農社(めいのうしゃ)」が町内に設立。最初のブドウ栽培に取り組む。1901(同34)年にはワイナリー「下野産葡萄(ぶどう)酒合資会社」が新設され、ワインとブランデーの醸造を始めたという。

 企画展では、当時のワインの価格は並みの日本酒程度と庶民にも手が届く値段だったことや、ワインの瓶にコルクで栓をする際に使う「コルク打ち」の購入やワインを詰める空き瓶を買ったときの領収書など貴重な資料を展示している。

 また、「海の幸」で著名な明治の洋画家青木繁(あおきしげる)と恋人で町出身の画家福田(ふくだ)たねが07(同40)年に益子地方のブドウ園の様子を描いたとされる油彩画「ぶどうの木」(複製パネル)や、町内の酒店で使われていた大正~昭和初期の陶器製酒だるも披露されている。

 町内のブドウ栽培は明治30年代から盛んに行われていたが、ワイン醸造は明治40年代に中止され、大正時代になるとブドウからナシ栽培へ移行したという。 

 学芸員の直井祐紀枝(なおいゆきえ)さん(36)は「町内のワイン醸造史という側面だけでなく、明治政府が国家の近代化を進める中で導入した西洋の新しい農業や技術が地方にも行き渡っていた歴史の一端を知ってほしい」と話している。

 午前9時半~午後5時。入館無料。月曜休館(祝日の場合は開館し翌日休館)。(問)情報館028・677・2525。