作品の見どころを語る想田監督

 足利市出身の想田和弘(そうだかずひろ)監督(47)が提唱する「観察映画」の最新作が全国で順次公開されている。瀬戸内海に面した小さな町に暮らす人などを収めた「港町」と、米国最大のアメリカンフットボール場を通じて米国の姿を見つめた「ザ・ビッグハウス」の2作。作品の公開に合わせ、想田監督が下野新聞社の取材に応じ、最新作の見どころを語った。

 観察映画は、事前にテーマ設定やリサーチをせず、臨機応変にカメラを回す想田監督独自の制作スタイル。ナレーションやテロップ、BGMなども使わず、観客に“能動的な観察”を促す点が特徴だ。

 「港町」の撮影地は岡山県牛窓町(現瀬戸内市)。同町を舞台とした前作「牡蠣(かき)工場」の撮影で知り合った「ワイちゃん」と呼ばれる高齢の男性漁師の船に同行し、漁や競り、鮮魚店を通じて流通する過程などを伝える。

 印象的なのは、ワイちゃんが「材料費は高くなる一方、魚は安くなって割に合わない」とこぼすシーン。

 過疎地を撮った「港町」とは対照に、「ザ・ビッグハウス」の舞台は米国屈指の名門校ミシガン大のアメフトチーム「ミシガン・ウルヴァリンズ」の本拠地。地元アナーバー市の人口11万人超をほぼ丸々収容できるほど巨大なアメフト場だ。

 白人ばかりの観客席、場外で通行人にチョコを売り歩く黒人の子ども、観客が残していった大量のごみ-。

   ◇

 6月17日に足利市の「ユナイテッド・シネマ アシコタウンあしかが」で開かれる「あしかが映画塾」では、2作の上映と想田監督のトークショーが行われる。