その一報が入った瞬間、総務省の担当課は総立ちになった。歓声を上げる者、ガッツポーズをとる者…。勝訴と敗訴の2通りのコメントを用意していたそうだ▼ふるさと納税で過去に巨額の寄付を集めた大阪府泉佐野市を制度から排除した同省の正当性が司法で認められた。ほぼ全面勝訴の内容だが、制度が内包する矛盾は少なくない▼もはや「ふるさと」色はあせている。当初は「故郷に恩返し」と聞こえのいいうたい文句の制度だった。だが今や、利用者の興味は返礼品に集中。さながら激安のカタログショッピングかカタログギフトである▼そもそも「納税」とは名ばかりだ。お金を任意の自治体に寄付すれば、本来は住所地に支払う税が減額される控除制度である。寄付額の上限を政治主導で2015年に倍増させたことから自治体間の返礼品競争が一気に過熱した▼ふるさと納税の寄付が増えれば、寄付した人が住む自治体の税収が減る。地方交付税をもらっている自治体には補〓(ほてん)もあるが、都市部に多い不交付の自治体はそのまま減収になる▼税金には「応益負担」の原則がある。ごみ処理などの行政サービスや生活インフラの対価として住民に納税を求める根拠だ。ふるさと納税にはまっている人も、ごみを出すし、公道も利用する。少なからずわだかまりも感じるのである。