背広の胸に着けられた、赤や緑など色とりどりの17個の扇形を並べた円形のバッジを見かけることが多くなった。2015年に国連が採択した30年までの国際目標「持続可能な開発目標(SDGs)」のロゴだ▼貧困や飢餓の廃絶に加え、生態系保護、温暖化対策や格差の縮小など17の目標と、その下にある169個のターゲットなどからなる。環境破壊をせずに、地球上のすべての人が豊かな生活を享受できる社会を実現するという▼バッジの普及を見ると、さぞや日本社会での理解や取り組みが進んだろうと思うのだが、そうではなかった▼ダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)が昨年発表した28カ国での認知度調査によると「SDGsのことをまったく聞いたことがない」と答えた人の比率が日本では51%に上り、英国とともに最多だった▼大量の核のごみを次世代に押しつけることになる原発の「新設が必要だ」とSDGsのロゴを背景に訴える経団連会長の姿を見ていると、むべなるかなと思う数字だ▼自らが進める政策やビジネスが大転換を迫られているという覚悟を、バッジを着けた人のどれだけが持っているだろうか。このままだと日本での目標達成は極めて困難だ。30年末には、こっそりとバッジを外す人がたくさん出てくるのではないかと思えてくる。