那珂川の緊急治水対策

 国土交通省常陸河川国道事務所は31日、昨年10月の台風19号の被害を踏まえ、栃木、茨城両県の那珂川流域の自治体などでつくる協議会がまとめた「那珂川緊急治水対策プロジェクト」を発表した。氾濫による浸水被害が発生した茂木町の流域で「防災集団移転促進事業」を検討するほか、那須烏山市下境に、開口部を設けた堤防「霞堤」を整備するとした。

 防災集団移転は、災害が発生した地域などで居住に適当ではないと認められる区域内にある住居を、高台などに集団で移転する事業。実施されれば本県内では初めてとなるが、茂木町は下野新聞社の取材に対し「事業の対象になり得るという提案を受けただけで、実施するかどうかも含め決まっていない」とした。

 協議会は同事務所や県、茨城県のほか、大田原市や茂木町、水戸市など12市町などで組織。プロジェクトは河道の整備や流域での遊水・貯留機能の確保、土地利用の工夫などを組み合わせた対策を「多重防御治水」と位置付け、2019年度から24年度をめどに実施する予定。全体の事業費は約521億円。

 霞堤は開口部を設けた堤防で、氾濫を防ぐため水位が上がった川の水の一部を田畑などに逃がす仕組み。小さな堤防しかなく、台風19号で水があふれた那須烏山市下境の那珂川沿いに、国が整備するという。

 整備の対象地域となる下境と、上流の同市宮原では家屋の移転や宅地のかさ上げなどの対策も想定されている。

 また那珂川の支流で、堤防が決壊した荒川では堤防の整備を行う。

 プロジェクトではこのほか、茨城県内で河道掘削や遊水地、堤防の整備などを実施。ソフト対策としては、河川での越水や破堤を検知する機器の開発、水位計や河川監視カメラの増設などを盛り込んだ。