厨房に立つ北野さん。開店直後からカウンターは満席が続いた

厨房に立つ北野さん。開店直後からカウンターは満席が続いた。

厨房に立つ北野さん。開店直後からカウンターは満席が続いた 厨房に立つ北野さん。開店直後からカウンターは満席が続いた。

 【宇都宮】学生やサラリーマン、常連客に長年愛されてきた二荒町の中華料理店「ふんよう菜館」が31日、閉店した。看板ものれんもなく、決して清潔感があるとはいえない店構え。漂う“B級”の雰囲気と店主の人柄、店の味に魅了されたファンが集まり、最終日も名物メニュー「B定食」に注文が殺到した。

 店主の北野光一(きたのこういち)さん(72)=下野市川中子=は約45年前、東京都杉並区に前身の中華料理店を開業。妻和枝(かずえ)さん(70)と10年ほど続け、1985年に宇都宮へ移転した。

 一番人気は厚さ約1センチで皿からはみ出るほど大きな豚バラ肉がメインの「B定食」。食べ応え十分で、軟らかく煮込まれた肉の甘みと香辛料の風味が病みつきになる。

 この日はファンが開店前から40人近い長蛇の列を作り、慣れ親しんだカウンター席で最後のB定食を味わっていた。鶴田町、会社役員高久英治(たかくえいじ)さん(50)は30年来の常連。「とろとろとした豚バラは無性に食べたくなるここだけの味。今までお疲れさまという気持ちです」。大学時代から都内の店に通い、移転後も定期的に通っていたという東京都渋谷区西原1丁目、自営業長谷尾安俊(はせおやすとし)さん(65)は「マスターはお客さんを大事にしてくれた。思い出の味を守ってくれて感謝しかない」と別れを惜しんだ。

 数年前も閉店を考えたが、来店客を思うとできなかったという。しかし昨年12月、和恵さんが体調を崩した。1人で店を切り盛りしたが体力の限界を感じ、ついに閉店を決めた。

 北野さんは「ようやくやめる決心がついた。お客さんには申し訳ないけどやれるだけやったと思う。最後まで店に来てくれてうれしかったね」と話した。