橋が落ち、倒木などで塞がれた山林内の参道周辺

 昨年の台風19号に伴う土砂災害の影響で、名刹(めいさつ)・出流山満願寺(栃木県栃木市出流町)の奥の院につながる参道が寸断され、一部が通行不能となっている。被害から3カ月以上が経過したものの、崩れ落ちた橋や倒木が手つかずのまま。周囲の斜面が地滑りを起こしており、同寺は「昨年と同規模の台風が来たら、本堂も土砂で流されてしまうのではないか」と危惧する。復旧には膨大な費用が必要で、自力再建は難しい状況という。

 寺は、年間数万人が訪れる市内有数の観光スポット。奈良時代、日光山開山の祖勝道上人(しょうどうしょうにん)が開山したと伝わる。被災した参道は本堂の背後に広がる山林内の林道で、寺の起源となった奥の院や滝行を体験できる滝などにつながる。

 台風が直撃した10月12日、境内を流れるせせらぎが濁流となり、参道も川に飲み込まれた。水が引いた同月下旬、僧侶が被害確認に向かうと、岩や倒木が山積していた。コンクート製の橋が落橋したほか、滝行で使用していた小屋も土台部分の一部が流された。脇の斜面が至る所で地滑りを起こし、木が何本も横倒しとなった。敷地内の砂防ダムも、川幅の3分の2程度が土砂でふさがれた。

 本坊のある建物の脇にも110トン近くの土砂が流入したが、寺が12月下旬に撤去した。だが、山林内の参道は重機を入れることができず、人力で復旧するしか方法がないという。

 同寺の竹村教誠(たけむらきょうせい)住職(56)は「安全確保のためには大規模な護岸工事などが必要で、寺だけでは難しい。今後どうやって寺を守っていけばいいのか、不安だ」と頭を抱える。砂防ダムを管理する県栃木土木事務所は「現状を憂慮している。対応については検討していく」としている。

 なお、本堂までの参道は問題なく通行できる。